Q1 自己破産すれば借金がなくなりますか?

A1 

個人の自己破産の場合,裁判所に破産申立てをして破産手続きを開始した後,裁判所から免責決定を受けると,借金は免責(免除)されます。免責された借金は支払う責任がなくなります。厳密にいうと,借金がどこかに行って消えてなくなるわけではありませんが,法律的に支払う責任がなくなりますので,借金がなくなったのと同じことになるのです。

但し,税金などの一部の債務は破産をしても免責されませんので(非免責債権といいます),支払う責任は残ります。

Q2 ギャンブルの借金でも免責されますか?

A2 

一定の場合には,裁判所から免責を認めてもらえない場合があります。例えば,著しいギャンブルや浪費による借金の場合,返済すると騙して新たに借金をした場合,破産申立てにあたり裁判所に虚偽の説明をした場合などです。これらの場合を免責不許可事由といいます。

但し,よほどひどい場合でなければ,裁判所に事情を十分に説明するなどして,免責を認めてもらうことは可能です。当事務所でもギャンブルなどによる借金であっても免責を認めてもらった事例を扱ってきました。

Q3 自己破産をすると二度と借金はできなくなりますか?

A3 

自己破産をすると信用情報機関に登録されます(俗にいうブラックリストです)。借金をしようとすると,金融機関などは信用情報を調べますので,審査を通りにくくなります。

但し,7年程度で信用情報機関の登録は削除され,削除後は収入状況などによっては借入れの審査を通ることもできると言われています。また,削除前であっても,審査基準が緩やかな業者であれば,借入れができる場合もあるようです。とは言っても,自己破産で一旦借金を整理したのですから,その後は,本当に必要な借入れ以外はしないという気持ちが大切です。

Q4 私が自己破産すると私の借金の保証人はどうなりますか?

A4 

その保証人に請求が行くようになり,借金の返済を保証人が行う必要が出てきます。その意味で,自己破産を決めたら,保証人には伝えておくのがよいでしょう。

保証人が返済できるのであれば問題ありませんが,返済できないのであれば,保証人も自己破産,個人再生,任意整理などの手続きが必要になります。

Q5 自己破産にはどの位の期間がかかりますか?

A5 

自己破産の依頼を受任して,まず借金の内容や正確な残高などの調査をして,住民票,給与明細などの必要書類を準備するのに1ヶ月から2ヶ月かかります。その後,破産の申立てをしますが,特に問題がなければ申立て後,約2ヶ月後に免責決定が出ます。ですから,自己破産の依頼・受任から手続きが終わるのには約3ヶ月から4ヶ月かかると思っておけばよいでしょう。

但し,事業をしていた個人の方や会社の代表者で会社も破産する場合など,一定の場合は,破産管財人が裁判所から選任される破産事件(管財事件といいます)になりますので,その場合は,もっと期間がかかります。

Q6 管財事件とは何ですか?

A6 

個人の方でも相当な財産がある方の破産では,その財産を売却するなどして現金に換え(換価),債権者に分配(配当)する必要があります。それを行うために,裁判所から破産管財人が選任されます。事業を営んでいた個人の方の破産の場合も,事業と個人との間で資産の混同がないかなどを調査するために破産管財人が選任されます。会社が破産するにあたり,代表者個人も破産する場合も破産管財人が選任されます。このように,破産管財人が選任される破産事件を管財事件といいます。

これに対し,通常の消費者の方の破産のように,破産管財人が選任されない破産事件を同時廃止事件といいます。 管財事件になると,破産管財人の報酬などに充てるため,破産申立てにあたり数十万円の予納金を裁判所に納める必要が出てきますので,破産手続きに必要な費用が増えることになります。

Q7 自己破産をするとマイホームを失いますか?

A7 

自己破産では主な財産は売却などの換価の対象になり,債権者への配当資金に回されます。マイホームは一般に財産的価値が高いため換価の対象ですので,破産管財人が売却したり,住宅ローンが残っている場合は金融機関が競売で売却します。借金を整理したいがマイホームは残したい場合は,まず個人再生を検討しましょう。個人再生が難しく破産しかない場合は,破産管財人や競売による売却において,マイホームを親族や知人に買ってもらい,その親族や知人から借りて住み続けることができるかを検討します。

但し,マイホームの売却見込価格より,住宅ローンの残額の方が遥かに上回る場合(オーバーローンといいます)など,一定の場合は自己破産でもマイホームを残すことが可能なことがあります。詳しくはご相談下さい。

Q8 自己破産をすると車を失いますか?

A8 

ローンで購入した車で,まだローンが残っている場合は,通常,ローン会社が車を引き揚げます。但し,車検証上の所有者名義が破産者なのかどうか,ローンの契約上,ローン会社に車の所有権が留保されているのかどうかなどにより,ローン会社が車を引き揚げられない場合もあります。詳しくはご相談下さい。

現金で購入した車や,ローンで購入したが完済した車の場合は,引き揚げの心配はありませんが,車の市場価値によっては破産手続きの中で売却され,最終的に車を失うこともあります。この点も,詳しくはご相談下さい。

Q9 自己破産すると生命保険を失いますか?

A9 

自己破産を申立てる時点での解約返戻金の金額によります。解約返戻金は,もし保険契約を解約した場合,保険会社から戻ってくるお金です。契約の種類や契約の期間などにより解約返戻金の有無や金額は異なります。自己破産を検討し始めたら,保険会社に解約返戻金の有無や金額を確認しておくのがよいでしょう。

なお,解約返戻金がいくらだと生命保険を失うのかは裁判所により基準が異なりますので,詳しくはご相談下さい。

また,その基準に該当して本来は生命保険を失う場合であっても,破産管財人と交渉するなどして失わなくて済むこともありますので,その点についても,ご相談下さい。

Q10 自己破産をすると財産を全て失うのですか?

A10 

そういうことはありません。生活をするのに最低限必要な家財道具などは失いません。また,99万円以下の現金や,その他財産価値が一定額以下のものも残すことが認められます。残すことができる財産価値の基準は裁判所により異なりますので,無料相談などを利用してお問合せ下さい。

Q11 家族や会社に秘密で自己破産することはできますか?

A11 

破産手続きの中で,裁判所が直接家族や会社に連絡することはありません。但し,破産手続きが開始されたことなどが官報(国の新聞のようなもの)に掲載されます。一般の人は官報を見ることはまずないはずですが,官報への掲載自体は避けられません。また,破産申立てにあたり,家族の収入状況が分かる資料や,会社の退職金が分かる資料を提出する必要がありますので,それらの資料の取寄せの段階で家族や会社に分かってしまわないよう注意する必要があるでしょう。その意味で完全な秘密を保証することはできないと言えますが,実際には,破産が家族や会社に分かって問題になったという事例はあまり聞きません。

Q12 自己破産をすると家族に借金が請求されますか?

A12 

家族が保証人や連帯債務者になっていないのであれば,借金を請求されることはありません。万が一請求されても,法的な支払義務はない,と答えればよいのです。

Q13 自己破産すると戸籍や住民票に載りますか?選挙権を失いますか?

A13 

自己破産しても戸籍や住民票には載りません。選挙権も失いません。破産は借金を整理して人生をやり直すための制度であって,懲罰的な効果を持たないからです。